THE ETHIOPIAN ROAST

当店の全く新しい焙煎ライン、その名も THE ETHIOPIAN ROAST をリリースしました。

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THE ETHIOPIAN ROAST はエチオピアで古くから行われているコーヒー焙煎からインスピレーションを得たコーヒーです。 

エチオピアでは一杯のコーヒーを嗜むのにゆっくりとした時間をかけます。まず炭火のコンロで熱した陶板の上にコーヒー生豆を広げ、ヘラで混ぜながら、部屋中に煙が充満し、豆が真っ黒になるまで煎ります。次に煎り上がった豆を木臼に入れ、木の棒で搗いて細かく砕きます。このコーヒー粉とコンロで沸かしたお湯をジャバナという土瓶に入れ、数回沸かし煮出した後、ジャバナを火から下ろし、少し落ち着かせ粉を沈めます。そして漉さずに小さいカップにコーヒーを注ぎ、皆に振る舞います。二煎目、三煎目と飲み終わる頃には2 時間ほどの時が過ぎています――こうした一連の作法は〈コーヒーセレモニー〉と呼ばれ、一般家庭においても行われているエチオピアの伝統的な文化です。
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カヨカミノ農園でのコーヒーセレモニーの様子。上の絵と文字は、この炭のコンロと陶板をモチーフにデザイナーの長尾周平が描いた。

2020年、年始早々にエチオピアを訪ねました。
 エチオピア・カヨカミノ農園のあるあたりはコーヒー発祥の土地にほど近く、原始のコーヒーを体感できる場所です。2年ぶりに訪れたカヨカミノ農園に宿泊し、明くる朝コーヒーをいただきました、コーヒーセレモニーの様式で。
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それは格別でした。朝の光の中、そこで穫れたものを、その土地のやり方で、その場所でいただいたのですから。
 大変感動的な時間、味わいでしたが、少し経って冷静にコーヒー液を評価してみました。カヨカミノ農園のコーヒーは素晴らしく、素材として申し分ない品質ですが、荒っぽく焼かれ、数回も沸騰させられたコーヒーにも関わらず雑味が少なく、コーヒー本来の風味、力強さに溢れ、かつここでしか味わえない野性味を感じる。さらに後味はスッと消えていく。なぜだろう…..。

 
秘密は焙煎にありました。

 コーヒーセレモニーでの焙煎は炭火で火力を調整できないため、豆を
短時間のうちに強火で焼くのが特徴です。その結果、コーヒー豆ひと粒
ひと粒の外側と内側に焼きムラが生じます。表面に強い火力が加わるこ
とで野性味やスパイシーな風味が生まれますが、中心部は深く焙煎され
ていないため、エチオピア豆がもつ果実味が閉じ込められています。出
来上がったコーヒー液からは、この相反するような幅広い味わいが感じ
られるわけです。

 また、強火でしっかり “ 焼き切る”ことにより、残った水分による渋みや
重さがなく、思いのほかすっきりとした後味が生まれます。そのため数
回煮出してもくどい味にはなりません。コーヒー豆への火の伝わり方に、
エチオピアで飲むコーヒーの味わいの秘密があったのです。


これを当店のプロバット焙煎機で再現したのが THE ETHIOPIAN
ROAST です。

 強い火力で焼き切ることでエチオピア豆の持つポテンシャル、複雑さ
を引き出しました。火の力により生まれた力強い風味の中に閉じ込めら
れた果実感は、ビターチョコに包まれた苺のよう。彩る甘いスパイスや
大地の香り、これらが織りなす味わいのグラデーション。しかしなおも
すっきりと消えていく味わいの心地よさを目指し、実現しました。
 原始
のコーヒーの味わいをお楽しみください。


THE ETHIOPIAN ROAST 200g

THE ETHIOPIAN ROAST 400g

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